侵入犯罪をデータでチェック
平成14年、刑法犯認知件数が戦後最悪の285万3,739件を記録。平成15年からは減少に転じ、平成24年も138万2,121件と10年連続で減少し、昭和55年以来はじめて140万件を下回りました。また、侵入窃盗についても、減少傾向にありますが、住宅を対象とする侵入窃盗など、依然として多くの被害が発生しています。
このような犯罪情勢の中で、家族の安全と財産を守る防犯対策を考えるためには、侵入犯罪の現状を知ることが非常に大切です。
侵入窃盗データ
侵入窃盗の認知件数は、平成15年以降減少に転じ、平成24年は115,155件、前年比-8.7%と10年連続で減少しています。また、このうち住宅対象侵入窃盗は、平成16年以降減少しており、平成24年は60,938件で前年比-8.9%と、同じく連続して減少しています。
しかしながら、一日当たり約166件もの住宅に対する侵入窃盗が発生しており、未だ多くの住宅が被害に遭っているのです。
侵入窃盗の発生場所別認知件数(平成24年)
侵入窃盗の発生場所別認知件数は、住宅が57.0%(うち一戸建住宅が38.1%、3階建以下の共同住宅が14.0%、4階建以上の共同住宅が4.9%)と最も多く、次いで一般事務所が13.8%です。
※注:生活環境営業~ホテル・旅館、パチンコ店、深夜飲食店等
侵入窃盗の手口別認知件数(平成24年)
侵入窃盗の手口別認知件数をみると、空き巣が約4割を占めます。住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は、前年比で空き巣(-6.8%)、忍込み(-16.8%)、居空き(0.03%)となっています。
侵入窃盗の検挙状況の推移(平成24年)
侵入窃盗の検挙件数、検挙人員は、平成15年以降、認知件数の減少に比例して減少傾向にあり、平成24年の検挙件数は62,298件で前年比4.6%の減少、検挙人員は9,719人で前年比8.2%の減少となっています。
来日外国人の検挙人員は、平成12年以降急激に増加しましたが、平成16年以降は減少に転じ、平成24年は171人で、前年比11.9%減少しています。
<出典:警察庁ホームページ>
侵入犯罪を手口でチェック
侵入者は、常に「最も簡単に侵入できる方法」を考え、手口を研究しています。侵入者の出方・手口がわかれば、対策も講じられるというものです。その時々の犯罪傾向を把握しておきましょう。
侵入窃盗の侵入手段
侵入窃盗の侵入口
主な侵入手口
ピッキング
ピックと呼ばれる金属製の特殊工具を鍵穴に入れ、ドアの錠を短時間で開けるという手口。
ピッキング手口に対応した錠でなければ、1分もかからず開錠されて屋内に侵入されてしまいます。
サムターン回し
玄関ドアの外側からドリルで穴を開けるなどして、サムターン(内側のドアロック用つまみ)を強引に回して侵入する手口。壊したドアスコープや取り外したドアノブの穴、ドアと壁の隙間などに特殊工具を挿し入れてサムターンを回すこともあります。
カム送り解錠
特殊工具を用いて錠シリンダーを迂回し、直接錠ケース内部に働きかけてデッドボルトを作動させ解錠する手口。「バイパス解錠」とも呼ばれています。
ドアのこじ破り
ドアと壁の隙間に、釘抜きのようなL字型をした工具・バールを押し込み、てこの原理でドア錠を破壊して侵入する手口。強引な方法ですが、手間がかからず短時間で侵入できます。
ガラス破り
クレセント(窓ガラスの錠)の周辺を破損し、そこから手を入れてクレセントを回して侵入する手口。通常のガラスであれば、わずか10~15秒で破損できます。近所への買い物やペットの散歩など、わずかな留守の間でも安心できません。
<出典:警察庁ホームページ>
侵入犯罪を防ぐための予備知識
侵入者の行動パターンと心理を理解することが侵入犯罪を未然に防止する近道です。侵入者が好む家か苦手な家かどうかのチェックポイントをまとめました。
侵入犯罪の行動と心理 視点
下見は万全!
侵入者は、下見を行うケースが多いといわれます。
そのチェック項目は、
- (1)留守かどうか
- (2)侵入しやすい家かどうか
- (3)逃げやすいかどうか
などです。
侵入しやすい家かどうかのチェックポイント
- 庭木など死角になるものがあるか
- 足場になるものがあるか
- 窓のクレセント鍵の位置が開けやすいところにあるか
- 犬がいるか
逃げやすいかどうかのチェックポイント
- 駅に近いか
- 立ち話をしている人がいるか
- 通行人が多いか
周辺の下見で気にすること
家の下見で気にすること
侵入した家を選んだ理由
地域住民の連帯感を見るポイントは、ゴミ。指定日以外にゴミが出ているかどうかをチェックします。「ゴミの日」が守られていない地域では、侵入者に安心感を与えるといいます。
留守を見抜く技
侵入者が留守を見抜く方法で最も多いのが、意外にも「インターホンで呼んでみる」。
インターホンが鳴って、出てみると誰もいない。こんな経験をしたことがありませんか。
すぐに悪戯と判断しないで、外に出て、周囲に不審者がいないかどうかを確認してください。
郵便受けに新聞や手紙が溜まっているのも危険。旅行などで留守にする場合は、新聞をとめましょう。
侵入犯罪の行動と心理 行動
侵入口はここだ!
最も多いのが、窓。
窓ガラスを破り、手を差し込んでクレセント錠を外して侵入します。泥棒は、ドライバー1本さえあれば、侵入してきます。鍵を玄関先の植木鉢の下やポストに隠して外出するのも危険です。侵入者はしっかりと見ています。
侵入者の必需品
侵入者は、ドライバーをはじめピッキング用具や金づちなど、さまざまな工具・器具を持っています。 たとえば、一定のドライバーは「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」(いわゆるピッキング防止法)で定められた指定侵入工具で、業務などの正当な理由がなく隠し持っていると、この法律の違反となります。
侵入犯罪の行動と心理 心理
5分が分かれ目
侵入に手間取り、5分かかると侵入者の約7割はあきらめ、10分以上かかると侵入者のほとんどはあきらめるといいます。「侵入に時間をかけさせる」。これが、侵入されるかどうかの大きなポイントになります。
ジロジロ見ないで!
侵入者は「近所づきあいが良く、連帯感のある住宅街」を嫌います。犯行をあきらめた理由で多いのは「近所の人に声をかけられたり、ジロジロ見られた」です。不審者を見かけたら、まずは「何かご用ですか?」などと声をかけましょう。日頃から近所づきあいを大切にすることが、犯罪に強いまちづくりにつながります。
<出典:警察庁ホームページ>