オシロスコープの原理

 現象をありのままに見たい

 オシロスコープのない時代には、電圧や電流を測定するのに電圧計や電流計を使って測定していました。ところが、たとえば100Vの電圧を測定したとしても、さてそれがパルスであるのか、あるいはもっとちがった波形であるのかを知るよしもありませんでした。オシロスコープの出現によって、時間とともに変化する電気現象をメータの数字や針の振れではなく波形という形で見ることができるようになり、電気の利用がエネルギーから信号へと拡がっていくなかで、オシロスコープはその発展に大きな役割を担っていったのです。

オシロスコープの原理 ブラウン管

 オシロスコープは波形を表示する手段にブラウン管を用いています。ブラウン管は陰極線管(Cathode Ray Tube)とも呼ばれ、ドイツの科学者ブラウンによって発明されました。ブラウン管は、その後、改良に改良を重ねられ、広帯域、高感度、高輝度で歪が少なくフォーカスのシャープな現在のような観測用ブラウン管に至っています。その原理図を1-1図に示します。



1-1図 ブラウン管の原理図

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1-2図 のこぎり波

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 カソードと加速電極との間に高電圧を加え、カソードをヒータで加熱します。カソードから電子が放射され電子ビームとなり、加速電極に向かって加速されます。加速電極には中央に穴があけられているため、電子ビームは加速電極を通過して蛍光膜に衝突しそこに輝点(Spot)を生じます。加速電極は電子レンズを形成しており広がった電子ビームは蛍光膜のところで収束するようになっています。そのため、シャープな輝点が得られます。蛍光膜上に波形を描かせるために、垂直偏向板が設けらています。垂直偏向板に信号電圧を加え、水平偏向板に一定速度で上昇する電圧を加えると、横方向に時間軸をとった波形が描かれます。この一定速度で上昇する電圧によって輝点を左から右へ一定速度で移動させることを掃引(Sweep)といいます。掃引は1-2図の線分ABで行われます。すなわち、点Aは輝点が蛍光膜の左端、点Bは右端にいることになります。その点を輝点が定速度で移動していく訳です。この掃引は、1-2図のように点Bから点A'へ戻し、再び点A'から点B'へ上昇させるというように、繰り返し行われます。また、点Bから点Aへ戻す時間はできるだけ短いほうが無駄がありません。1-2図のような波形をその形からのこぎり波といいます。
 このようにして、垂直偏向板に加えられた電圧信号は波形としてブラウン管面上に描かれますが、観測しようとする信号が同じ波形の繰り返しの場合に、1-2図ののこぎり波では、最初の掃引と次の掃引では表示する波形の書出し位置がちがうため、ブラウン管面上では波形が幾重にも重なって波形の観測ができません。



オシロスコープの同期

したがって、繰り返し信号をブラウン管面上で波形を静止させて観測するために、観測信号とのこぎり波に一定の時間関係をもたせる工夫が必要になります。  1-3、1-4図に示すように、観測信号をAの正弦波とします。Aの信号に対して同じ位置でBのパルスを発生させます。このBのパルスによってCの掃引信号を発生させます。掃引信号はブラウン管の右端に相当する電圧に達すると急速にもとの左端に相当する電圧に戻ります。1-2図では、この後すぐに再び掃引を開始しましたが、ここで休止期間を設け、そのあとBのパルスを待って掃引を開始するようにします。このようにすると、各掃引の度に同じ波形を描くため1-4図のDのように静止した波形を観測することができる訳です。1-4図のDのように掃引の傾きを変えても静止した波形が得られることがわかります。


1-3図 オシロスコープの同期

1-4図

オシロスコープの基本構成

 1-5図にオシロスコープの基本構成図を示します。観測信号は入力端子に加えられます。信号は垂直増幅器によって増幅されブラウン管の垂直偏向板を駆動します。また、垂直増幅器の途中からトリガ用に信号が取り出されトリガ回路に導かれます。この信号からトリガ・パルスがつくられ、このトリガ・パルスによってのこぎり波発生回路が駆動されます。のこぎり波発生回路で発生された掃引信号は水平増幅器で増幅されブラウン管の水平偏向板を駆動します。このようにして、観測信号の波形がブラウン管面上に表示されます。


1-5図 オシロスコープの基本構成